記述が古い箇所がございます。本記事は、2013年に書かれたレビューを転載したものです。時間がとれ次第、最新の情報を反映しようと考えておりますが、現時点では追いついていません。予め、ご了承ください。
Sakra(サクラ)は、アメリカのSTEALTH audio cables社の製造・販売するインターコネクトケーブルであり、同社のフラッグシップブランドである。世界のトップブランドがフラッグシップモデルの高性能化・高汎用性化を図る中、Indra Rev.08をベースとして開発された。
長年、改善が続けられており、弟分であるIndraと共に世界に冠たるインターコネクトケーブルとして名を馳せる。製造・販売期間がIndraと比べて短く、特に発売時期がリーマンショック後であったこともあってか、国内ではIndraと比べると語られる機会が少ないケーブルであるようにも感じるが、Indraと比べても基本性能・完成度共に優位にあり、よりフラッグシップ然とした存在だと言える。
弟分であるSTEALTH Indraと非常によく似た外見のケーブルであるが、中央部が太く、両端部が細くなっている点はSakraの個性であり、昨今のトップエンドに多く見受けられる構造でもある。Indraほどには、外見と音がマッチしていないというのが筆者の見解。後述するが、Sakraの音はIndraのそれと比べるとストイック・無個性に近く、外見ほどには華やかだとは感じない。
次に、取り回しの良し悪しについてであるが、これはIndraに負けず劣らず良く、同価格帯のケーブルの中でも良い部類であろう。両端部が細くなっている点は高評価だが、同様の構造をとっているCanorus 20th Aniv.(Purist Audio Design)やGryphon(Stage III Concepts)などと比べて、中央部の取り回しは明らかに良い。尚、外見が純白で汚れに対して気を遣う点についても、Indraと同様。中古購入に際しては、予め汚れの有無・程度について確認した方がよいだろう。
前提として、基本性能の項目として挙げた多くの要素について、Indraを明らかに上回る実力を有する、文句なしのハイエンドケーブルである。詳しくは、下の図をご参照いただきたい。
すなわち、基本性能にせよ汎用性にせよ、同社のIndraと比較して大きく改善されている。また、図中には記載していないが、Indraの弱点でもあった音像の実在感も、大いに改善した。ただし、あくまでSTEALTHケーブルであるという点は注意。やはり、図らずも音像がふわっとしたり、弦楽器やヴォーカルのリアリティを損ねるケースもある。
何だかんだと言いつつも、STEALTHの音のキャラクターとそもそも相性が良いか、仮にイマイチであるならば、Sakraのポテンシャルを活かしつつも別のケーブルやアクセでうまく調節することが求められそうだ。
それぞれの評価項目の定義についてはこちらを参照。
音場or音場?、寒色or暖色?という問いに対して「ニュートラル」と答えたいSTEALTHの本音が垣間見えるケーブル。弟分であるIndraは、はっきりと「音場」「寒色寄り」のケーブルと感じたが、このSakraについてはもう少しバランス型に寄ったケーブルだと感じられる。
なお、ライバルにあたるGryphon(Stage III Concepts)や、高性能・ニュートラルを地で行くOPUS(TRANSPARENT)などと比べて、やはりミクロな音像の表現よりもマクロな音場の展開に特化している。
音場の展開力はさすがで、STEALTHらしく広大で閉塞感のない展開が魅力的だが、Indraと比べると音像は前に張り出し、側方が広がる。逆に、縦深は控えめになっている。総じて、Indraが奥行き重視・実体感控えめなタイプのケーブルなのに対し、Sakraは良くも悪くもそれをニュートラルに寄せたものである。喩えるなら、Sakraのサウンドステージは、形状的にはOPUSのそれに近く、IndraのそれはPRIME XLR(Jorma Design)やGryphonのそれに似ている。
上でも書いたが、音色はニュートラル寄りの寒色系。一聴するとIndraとそう大差はないようにも思えるが、実際はIndraよりも音像の実体感が強く陰影豊かで、別の言い方をすればヌケが悪い分、こもったような温度感を感じた。こう書くと、なんだか汚い音色という感もあるが、実際は美音の部類。さらりと尾を引く粒子の感覚や、煌びやかな微弱音の演出は、GryphonやOPUSにも無い個性。非常に高い基本性能を誇りながらも、随所にSTEALTHらしい演出をちりばめてくる点は、さすがはフラッグシップといったところだと感じる。
Sakraはバランスのよいケーブルで基本性能も高いため、音色面の好みと一致するようであれば、どこに導入しても後悔は少ないと思われるケーブル。ただし、音色はあくまでSTEALTHなので、導入前に一度貸し出し試聴をされることを勧める。
また、システムにSTEALTHケーブルを使用する場合、特にプリ・パワー間にSTEALTH Indra(バージョンは問わない)を配置するならば、DAC・プリ間の選択肢として最適な1本としてSakraを推奨したい。STEALTHの個性を活かしつつ、システムを底上げしてくれるためだ。
Indra V.10(STEALTH)
A.S.P. Reference Gryphon(Stage III Concepts)
OPUS(TRANSPARENT)
Reference XL(TRANSPARENT)
PRIME XLR(Jorma Design)
Snow Lake(Siltech)
他