A.S.P. Reference Gryphon XLR

　A.S.P. Reference GRYPHON（グリフォン）は、アメリカのStage III Conceptsの製造・販売していたインターコネクトケーブルであり、同社の元フラッグシップモデルである。

　両端にHyperionと呼ばれるコネクターを接続したモデルであり、カーボンファイバーによる制震の他、素材・構造も一から自社開発しているなど、プラグ部の作り込みについての熱意は並々ならぬものがある。加えて、被覆の工夫などによるノイズ対策は同社が以前から得意とするところであり、Hyperion搭載のA.S.P. Referenceモデルに至り、同社は世界的にも優れたノイズ対策力を実現したと言えるだろう。

　ブラックの被覆を纏った線体を、同様にブラックのパーツとカーボンファイバーが彩る。XLRのプラグにカーボンを用いている点は、例えばSTEALTHのIndraやSakraと似ている。STEALTHは被覆が白で、Stage III Conceptsは黒だが、個人的にはどちらも洗練されたデザインのケーブルだと思う。

　取り回しについては、どうしても重さからくるタフさがある分、SakraやPRIME XLR（Jorma Design）などと比べるとハード。ただ、全体的にしなやかで曲がりやすい構造をしているため、BLACK LABEL（NBS）などと比べると扱いやすい。また、線体が頑強な造りをしているため、破損のリスクなどに気を遣う必要性が小さいことも、評価すべき点だろう。

それぞれの評価項目の定義についてはこちらを参照。

• 奥行きに富み、立体的なサウンドステージ

　上で説明したので、ここでは強調するのみに留める。

• 寒色系の出音である

　これはStage III Conceptsのケーブルに共通のキャラクター。ケーブルによってシステムに熱気や生命感を扶養したい場合、Gryphonは選択肢から外れるだろう。もっとも、これは良い悪いではなくて好みの問題であるし、楽曲との相性の問題でもある。たとえば fripSide さんの sister's noise みたいなクールでハイスピードな曲は、是非ともGryphonを繋いで聴きたい曲である。

• 打ち込み系の再現力

　躍動感とスピード＆リズムを両立していることから、打ち込み系の楽曲に強い。高い音は刻むように精緻に、低い音はドンと膨らましつつも、もたつかない。容易に得られそうでいて、実はとても得難い音だと感じる。

　GRYPHONの特徴は、一に高い基本性能、二にジャンルや音源にドンピシャにハマった際の強さだと思うので、それらを活かせるポジションに入れるべきだと思っている。筆者が運用した限りでは、得意なジャンル・曲の再生時にはプリ・パワー間に持ってきて、それ以外の場合はDAC・プリ間に配置しておくのが、最も良さを引き出せる使い方だったと思う。

• Sakra（STEALTH）

• PRIME XLR（Jorma Design）

• OPUS（TRANSPARENT）

• Reference XL（TRANSPARENT）

• Seraphim（ZenSati）

• 他