ODIN Valhalla 2は、アメリカ合衆国のNORDOSTが製造・販売している電源ケーブル。Valhallaと冠してはいるが、実際の音は質的にもキャラクター的にもODINに近く「手頃な価格でODINを楽しめるモデル」といった方が実態に即していると感じる。値段を考えると破格の優秀機だと言えるだろう。
基本的にはODINと同様に、線体に木箱が装着されている。ただし、ODINのものが四角いのに対してValhalla 2のものは丸い。プラグはODINではFUCUTECHのものを用いていたところが、完全に自社製になった。
取り回しは、Valhallaよりは苦労するが、ODINよりは楽。苦労するとはいっても、元々の線体が細いため、ほぼ苦労することはないだろう。
Valhallaと同様にオールラウンダーであり何も足さず何も引かないに近いケーブル。ODINに比べると、ややスモールスケールで、サウンドステージの広がりからディティールの描画に至るまで、少しずつ劣るが、ほぼODINと言って差し支えない。
具体的には
スピード&リズム
サウンドステージの広がりと見晴らしのよさ
が強みのケーブル。
余談だが、ValhallaからValhalla 2への進化が、大幅な性能改善になったのに大して、ODINからODIN 2への進化は、性能面ではなく音色面であった(ODIN 2の出音はかなり暖色に寄った)点は興味深い。
それぞれの評価項目の定義についてはこちらを参照。
以下の文章は、Valhalla 2に触れた際に私が強く感じたことを綴ったものであり、XLRケーブルにおいても同様のことを感じたので、ここに引用している。以下、引用。
ODINのレビューで「必要十分」と書いたので、こちらでも近い言い回しをさせていただいた。ODIN同様、Valhalla 2も海外のハイエンドにありがちな飾り気や面白味は感じないが、かといってこれといった不満もない(強いていえば聴感S/N)。強いていえば、ODIN 2との比較から、100点はつけられないが90点ならつけられる、といったところだろうか。ケーブルに華やかな演出を求める方にはお勧めできないが、そうでない全ての方には、一度お聴きになることを強くお勧めする。以上、引用。
Valhalla 2を用いた際の、スピーカーからの出音の立ち上がりの速さと立ち下がりの速さは、いささか常軌を逸している。ハイエンドだと、低音の量感をキリキリに絞ったケーブルに限れば、そういうスピード感のケーブルも無きにしもあらずだが、Valhallaほど上から下まで帯域バランスがきちっとしたケーブルという条件をつければ、僅少だと思われる。
Valhalla 2のサウンドステージは広大である。ODINには一歩及ばないが、ほとんどのケーブルは凌ぐ。ライバルを見つけようとすれば、例えばLeviathan(Stage III Concepts)あたりまで見据えないと厳しいのではないだろうか。
これはODINのレビューでも書いたが、Nordostの下位ライン具体的にはVALHALLA、BRAHMA、VISHNUに通した音作りは「シャープかつピーキーな高音」「クールな中音」「タイトだが、最深部までは明瞭に表現しない低音」だった。これらは、ODINの登場以前はNordostのキャラクターのようなものだったが、ODINに至ってはなりを潜めており、Valhalla 2もそれに倣ったようだ。
ポジションは選ばない。あるとすれば好みの問題だと思うので、実際にシステムに組み込んでみた上で判断するのが迅速かつ確実だと思われる。
ODIN(NORDOST)
VALHALLA(NORDOST)
Cherub(ZenSati)
A.S.P. Leviathan(Stage III Concepts)
A.S.P. Kraken(Stage III Concepts)
PRIME(Jorma Design)
他