記述が古い箇所がございます。本記事は、2014年に書かれたレビューを転載したものです。時間がとれ次第、最新の情報を反映しようと考えておりますが、現時点では追いついていません。予め、ご了承ください。
ODIN Powerは、アメリカ合衆国のNORDOSTが製造・販売していた電源ケーブルであり、かつての同社のフラッグシップモデルである。160万円/1.25m、240万円/2.5mという価格は、他のハイエンドとすら隔絶するが、単体の電源ケーブルとしての実力や使い勝手において、最高水準であることは間違いない。すでに部屋・機器共に最高レベルのものを所有されている方ならば、その恩恵を十二分に享受し得るといえるだろう。
基本的にはODINブランドに共通の構成で、ホワイトの線体に木箱が装着されている。プラグがオリジナルではなく他社製(FURUTECHのFI50/50M)である点はインターコネクトケーブルとは異なっている。同社の初代VALHALLAやVALHALLA 2との比較で言うなら、ODINの方がより太い。また、木箱はODIN特有のもので、初代VALHALLA以下のラインには装着されていない。
ちなみに、Cherub(ZenSati)とは、FI50/50Mを装着している点、銅導体に銀メッキであり、更にそれを透明のシールドで被覆している点など、外見状の共通点が極めて多い。加えて、広大なサウンドステージに音像を散りばめる点なども共通している。
話を戻すと、ODINに戻すと、このケーブルの取り回しは悪くない。ライバル的な存在のKRAKEN(Stage III Concepts)やCherub(ZenSati)よりも楽に取り回せるし、国産であれば7N-PC9500(ESOTERIC)などよりも良い。
稀にみるオールラウンダーであり何も足さず何も引かないを地で行くケーブル。これといった不満が見当たらない。ODINが性能面でほぼ突き詰められていたことは、のちにNORDOSTがODINの後継機種としてリリースしたODIN 2が、性能面でODINとほぼ変わらず、音色を暖色寄りに振るのみでのアップデートであったことからも、推察できる。
無論、個別の要素についてODINを上回るケーブルというのは存在する。知る範囲で、具体例を列挙してみたい:
低音の沈み込みの深さからくる帯域バランスや、S/N比(聴感)であればLEVIATHAN(Stage III Concepts)
小音量再生時の音のクリアネスや、各音の描写の丁寧さであればOPUS(TRANSPARENT)
音の熱気や生命感であればODIN 2(NORDOST)やアレグロ電源ケーブル
なお、音のスピード&リズム、サウンドステージの広がりなどについては、ODINと並ぶケーブルこそあれど、明確に上回るケーブルは思い浮かばなかった。天晴。
それぞれの評価項目の定義についてはこちらを参照。
以下の文章は、ODINに触れた際に私が強く感じたことを綴ったものであり、XLRケーブルにおいても同様のことを感じたので、ここに引用している。以下、引用。
ODINの音を聴いて「必要十分」というフレーズを思い浮かべるのは、筆者だけではないだろう。海外のハイエンドにありがちな飾り気や面白味は感じないが、かといって何の不満もない(強いていえば聴感S/N)。弟分のVALHALLA以上にストイックで無駄のないケーブルだが、同時にVALHALLAと比べてストイックさをひけらかさない。「必要な要素を満たし、不要な要素を排す」を地で行く「必要十分」へのこだわりは、OPUS POWER(TRANSPARENT)からも感じたものだが、ODINの方が更に徹底している。ケーブルに華やかな演出を求める方にはお勧めできないが、そうでない全ての方には、一度お聴きになることを強くお勧めする。以上、引用。
ODINを用いた際の、スピーカーからの出音の立ち上がりの速さと立ち下がりの速さは、いささか常軌を逸している。ハイエンドだと、低音の量感をキリキリに絞ったケーブルに限れば、そういうスピード感のケーブルも無きにしもあらずだが、ODINほど上から下まで帯域バランスがきちっとしたケーブルという条件をつければ、僅少だと思われる。
これは、何を飾るでもなく、ただひたすら広大である。ライバルを見つけようとすれば、例えばPoseidon(Stage III Concepts)あたりまで見据えないと厳しいのではないだろうか。
当方はNordostの電源ケーブルについては、ODINの他にも、VALHALLA Power、BRAHMA、VISHNUと所有してきたが、ODIN以外の、つまり下位ライン共通した音作りは「シャープかつピーキーな高音」「クールな中音」「タイトだが、最深部までは明瞭に表現しない低音」だった。これらは、ODINの登場以前はNordostのキャラクターのようなものだったが、ODINに至ってはなりを潜めた。補足すると、VALHALLAの後続にあたるVALHALLA 2もまた、VALHALLAと比べると落ち着いた出音&高性能のケーブルで、Nordostの目指すところが垣間見えた気がした。
ポジションは選ばない。あるとすれば好みの問題だと思うので、実際にシステムに組み込んでみた上で判断するのが迅速かつ確実だと思われる。
ODIN 2(NORDOST)
VALHALLA 2(NORDOST)
VALHALLA(NORDOST)
Cherub(ZenSati)
A.S.P. Leviathan(Stage III Concepts)
A.S.P. Kraken(Stage III Concepts)
PRIME(Jorma Design)
他