PRIME Power

| 注意事項

記述が古い箇所がございます。本記事は、2013年に書かれたレビューを転載したものです。時間がとれ次第、最新の情報を反映しようと考えておりますが、現時点では追いついていません。予め、ご了承ください。

| 音以外について

| 概要

　JORMA PRIME POWERケーブル(以下、PRIME POWER)は、スウェーデンのJorma Design社が製造している電源ケーブルであり、2013年現在の同社のフラッグシップモデルである。

　基本性能・音楽性共に優れたケーブルで、このPRIME POWERを世界最高の電源ケーブルとして考えるオーディオファイルも少なからずいた模様。また、音色的な偏りの少なさにも定評があり、多くの愛好家がリファレンスとして使用しているモデルでもある。

| 外見・取り回し

　煌びやかな被覆、紡錘型の木箱、そしてオヤイデ社のロジウムメッキプラグが特徴的なヨルマデザインのケーブル。外見だけでも、なかなか美しいケーブルだと感心する。

　取り回しはお世辞にも良いとは言えない。見た目はそこまで太くなく、重量的にもそこまでではないのだが、いかんせん捻りにくい。また、曲げも良いとはいえないところがあり、特に短めの個体を使用する際は苦労することが多いかもしれない。

| 音についての感想

| 基本性能

　フラッグシップから陥落した後も、トップクラスと評して差し支えない基本性能を誇り、聴感解像度、聴感S/N、そして帯域バランスに関しては類稀なる実力を発揮する。また、汎用性もかなり高く、音像表現・音場表現の双方について、そつなくこなす。ただ、どちらかといえば音像表現が得意だと思われ、高い解像度を生かした精緻な細部描写には定評がある。

それぞれの評価項目の定義についてはこちらを参照。

| 主な特徴

音像を丁寧に描画する力

　音像表現・音場表現の双方をそつなくこなしつつも、音像表現をより得意とするケーブル。音場に関しては、抜群のS/N感を背景に、広がりよりも音の分離感と定位感の良さを追求したタイプだと感じる。一音一音がビシッ、バシッっとブレなく決まる点が魅力的で、情報量に対する情報コントロール力の高さは、巷で“＊N純度銅”などと謳っているケーブルとは一線を画す。この情報コントロール力の高さゆえ、大して広くない音場に、ひとつひとつの音が、氾濫ないし飽和することなく収まっている（もっとも、このあたりの感じ方は人それぞれであろうが）。

　音色は、ニュートラルと評したい。ただし、たとえばPLMM2X（TRANSPARENT）や7N-PC9300 MEXCEL（ESOTERIC）などよりも暖色的であることから、微暖色と思わないでもない。（ORIGOなどを聴いて感じるに）JORMAの8N銅導体そのものの音色は微寒色だと思うが、PRIMEに搭載されたクァンタムピューリファイアーの個性である艶っぽさが、良い意味で温度感を高めている。

聴感上のS/N比の高さ

　PRIME POWERについて言及する上でまず挙げたいのが、その聴感S/Nである。筆者はこれまで様々な電源ケーブルを運用してきたが、PRIME POWERはその中で最も最も聴感S/Nに優れたケーブルの１つだと考えている。上で、PRIME POWERの音場はそこまで広いものではなく、にも関わらず情報量・情報コントロール力共にトップクラスとして評価しているが、その背景として最も重要な要素がこのノイズ対策力の高さだろう。仮にPRIME POWERのS/N比が電源ケーブルの平均レベルだったとするならば、ステージは情報とノイズの過多によって氾濫していることだろう。また、PRIME POWERの紡ぎ出す音像のブレの小ささと陰影感の豊かさも、この静寂性を抜きにしては考えられまい。

帯域バランスの良さ

　PRIME POWERは、高い音から低い音までの表現をそつなくこなす、秀逸な帯域バランスのケーブルでもある。先に言えば、PRIME POWERの低域方面のレンジの広さは、DEVICE 0（K. Racing Design）やLeviathan（Stage III Concepts）などと並び、世界最高水準だと思われるわけだが、PRIME POWERの優れた点は、低域の強さに圧倒されることなくその量感を抑え、全帯域において音の厚みのアンバランスを抑制することに成功している点であろう。無駄に膨らんでいない筋肉質な低域は反応速度に優れ、DEVICE 0などと比べても音の収束が速い。

キレと艶やかさを両立した中～高音

　前述の通り、PRIME POWERを含むJorma Designのケーブルの導体は高純度銅である。この銅導体が描き出す中～高音は非常に鮮度感が豊かであり、キレがある(この点は、ORIGOにおいてより顕著であろう)。これに加わる要素としてPRIME独自の要素としては、音の艶やかさがある。この艶は、搭載されたクァンタムピューリファイアーの特性だと言われるが、鮮烈さ一辺倒とも言えるコッパーサウンドに、ある種の落ち着きとリッチな響きを与えているように思う。

| 使い道

　基本性能が高く、バランスも非常に良い機種であるため、基本的にはどのような使い方をしてもバチが当たらない数少ないケーブルの１つだと思われる。が、向き不向きが皆無だとは思わない。

　実際、システムに色付けを行いたい場合、このPRIME POWERを上回る選択肢は少なくない。例えば BLACK LABEL（NBS）やEPIPHANY（Electra Glide Audio）をDACやプリアンプに使えば、より強烈な音の変化・システムへのインパクトを楽しめる。そういった意味では、性能面の優位をより生かしやすい壁やトランスポートなどに使用した方が、システム全体の向上には望ましい。

　と同時に、アンプなどにピラミッド型の帯域バランスのケーブルをお使いで、低域を引き締めたい、あるいは実体感を付加したいという方や、まったりしたケーブルをお使いで、システムに鮮度感やキレのある艶を付加したいという方には、このPRIME POWERはお勧めできると感じる。

| 主な比較対象

Power Link MM2X（TRANSPARENT）

Allegro電源ケーブル
VALHALLA（NORDOST）
7N-PC9500（ESOTERIC）
他

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