記述が古い箇所がございます。本記事は、2013に書かれたレビューを転載したものです。時間がとれ次第、最新の情報を反映しようと考えておりますが、現時点では追いついていません。予め、ご了承ください。
Allegro電源ケーブルは、JVC XRCDプロデューサーの田口晃氏が、SCC社(LA,USA)のBrent Schoenfeld氏と共同開発した電源ケーブル。音響のプロが現場で使用することを想定して設計・開発されており、その安定感や癖のなさには信頼が置けると感じる。発売から20年以上経った今でも、根強いファンが多い実力派。Allegro Power Cableには、バランス機材向けのグランド・オンとアンバランス機材向けのグランド・リフトがあるが、今回使用したのはグランド・オンの方。
その優等生的な音作りとは対照的に、お世辞にも取り回しが良いとは感じられない構造である。まぁ、見た目を裏切らないとでも言うべきだろうか・・・。曲がりにくいというわけではないのだが、ケーブル自体が非常に重く、ちゃちなタップやコンディショナーに刺そうものなら、ボックスごとひっくり返りかねない。そのため、運用には非常に気をつかう。
基本性能は非常に高い。また、単に能力が高いのみならず、バランスよくて汎用的で、使い勝手の良いケーブルに仕上がっている様が印象的である。プロ御用達というのも頷けるし、PLMM2Xとなど共に、筆者の知る範囲では屈指の汎用的なケーブルだと感じる。民生用のケーブルにありがちな癖や個性の主張は控えめで、むしろ音源の良さが前面に出てくれると感じる。
次いで評価すべきは聴感S/Nだろうか。これも、プロの現場では求められる能力だろうから、シールドの設計には力が入っているようだ。
それぞれの評価項目の定義についてはこちらを参照。
Allegroは音像の表現力を重視したケーブルである。力強い生命感を備えた有機的な音像が魅力的。また、音像表現重視のケーブルの多くは、音像の迫力を求めるがあまり音場の広さ、特に奥行きを犠牲にしてしまうが、このAllegroにあっては音場の広さもさほど犠牲とされていない点は特筆すべきであろう。
中域の充実は、Allegroをレビューするにあたって言及すべき点だと思っている。ヴォーカルは生命感に富み、明るく快活な様が印象的である(ライバル関係にあるESOTERIC MEXCELシリーズたとえば7N-PC9500あたりと比較して顕著であった)。厚みと解像感が高次元で両立されており、音の質感は非常になめらか。NBSのBLACK LABELやAural SymphonicsのMagic GEM v2tにあるようなエグさや暑苦しさが抑えられている点は、Allegroの汎用性の高さに貢献している。
中低域と並ぶAllegroの持ち味として、その低域のクオリティの高さがある。Allegroの低域は音像表現重視のケーブルの中においてもトップクラスの重厚感を誇るが、同時にその重厚感からは想像できないようなスピードも備えている。同じ音像表現重視のケーブルとしてはたとえば、上述のBLACK LABELやMagic GEM v2tの他、Kubala•SosnaのElation!などがあるが、Allegroの低音はこれらのいずれよりもスムーズで、なめらかである(メルセデスSクラスの上位ラインのような加速感と安定感を彷彿させる)。以上から、スピード&リズムの項目は高評価となっている。
高い基本性能の恩恵を被りたい方は、このAllegroを壁→タップあたりに使用した上で、好みに合わせて個性的なケーブルをデジタル段やプリなどに接続するのがよいだろう。逆に、音像の生命感や低域のスピード感を前面に出したい方は、下流(特にパワーアンプ)にアレグロを使用すべきだと思う。あるいは、全ての電源ケーブルをAllegroで統一するというのも面白いだろう。それでも、さほど癖は強くならない筈だ。筆者はまだ試したことはないが、音源の良さを十全に引き出したい場合、適切な選択肢の1つになり得るのではないかと思う。
Esoteric 7N-PC9500 MEXCEL
Kubala•Sosna Elation!
Shunyata Research King Cobra CX
TRANSPARENT Power Link MM2X
他