Absolute Powerは、アメリカ合衆国のAcoustic Zenが製造する電源ケーブルであり、同社のフラッグシップモデルである。Acoustic Zenは、銀線のデザイン&開発を得意とするメーカーで、このAbsolute Powerは、筆者が所有した中でも屈指の、銀線らしいケーブル。
グレーの被覆が特徴的な線体のケーブル。被覆のテイストも相まって、これぞ銀線と思わせてくれるような外観である。電源ケーブルはインターコネクトケーブルと比べてもかなり太い。
その太さがゆえに、取り回しには少々、苦労する。End to Endで太いため、特に曲げが難しいケースもある気がする。ので、購入する際は長さについては多少、余裕を持たせた方がよいだろう。
高純度の銀線らしい、周波数レンジの広さと帯域バランスの良さが魅力的。この価格帯のケーブルとしては、低音の分解能はかなりのもの。克明なまま、ズドーンと下まで落ちるような感覚は、Flow Master Reference(Argento Audio)などにも通じるものがある。また、インコネは低音がタイトで引き締まっているのに対し、電源ケーブルは低音が強大な印象を受ける。
出音は、立ち上がりが速い。スッと音が出てくるような印象。軽やかさというより、鋭さを感じさせる。一方で、音の立ち下がりは、少し散らかる印象。
ドバドバと情報を出すタイプのケーブルなので、描画の丁寧さについては改善の余地がある。
なお、音の熱気や生命感に乏しい点は、これまた純銀線らしい。
それぞれの評価項目の定義についてはこちらを参照。
前述した通り、Absolute Powerは筆者が知る中でも指折りの「銀線らしい」ケーブルである。中〜高音には、銀線に特有のキラキラとした粒立ちや艶っぽさが乗っている。これは、銀線にありがちな、価格に比して高性能であることの副作用で、この質感を受け入れられる方にとっては、Absolute Powerは非常に望ましい選択肢だろう。
これは良質な銀線たとえばFlow Master Reference(Argento Audio)などにおいて顕著だが、このAbsolute Powerの出音も、価格に比して、低音の聴感解像度が素晴らしい。1音1音が潰れることなく、はっきりと描写される。銅線に似たような表現をさせようとすると、かなりコストがかかるので、そういう観点ではAbsolute Powerはお値打ちである。
それなりにケーブルとしてのポテンシャルは高い気がするので、パワーアンプ接続でも問題ないとは思う。ただ、出音にケーブルの癖が乗るため、それを避けつつ、高性能の恩恵を受けたい場合は、デジタル機器への接続だと感じる。
Flow Master Reference(Argento Audip)
7N-PC9500 MEXCEL(Esoteric)
Elation!(Kubala•Sosna)
King Cobra CX(Shunyata Research)
他